クレアチンモノハイドレート完全ガイド:最もエビデンスが強いサプリの全知識

サプリメントの真実

結論から述べる。クレアチンモノハイドレートは、筋力・筋肥大に対する効果が500以上の研究で確認されている、最もエビデンスレベルが高いスポーツサプリメントである。安全性も高く、健常者が推奨量を守る限り、腎臓への悪影響は確認されていない。

クレアチンとは何か

クレアチンは、アルギニン、グリシン、メチオニンという3つのアミノ酸から体内で合成される有機酸である。体内のクレアチンの約95%は骨格筋に貯蔵されている。

クレアチンは食事からも摂取できる。主な供給源は肉と魚である。

食品クレアチン含有量(1kgあたり)
ニシン6.5〜10g
豚肉5.0g
牛肉4.5g
サーモン4.5g
マグロ4.0g
タラ3.0g

(出典:Balsom et al., “Creatine in Humans with Special Reference to Creatine Supplementation,” Sports Medicine, 1994)

平均的な食事では1日あたり約1〜2gのクレアチンを摂取している。体内での合成量も1日約1〜2gであり、合計で1日2〜4gのクレアチンが供給されている。しかし、筋肉内のクレアチン貯蔵を飽和させるには、この量では不十分であることが研究で示されている。

クレアチンはどうやって働くのか

クレアチンの主な機能は、ATP(アデノシン三リン酸)の再合成である。ATPは細胞のエネルギー通貨であり、筋収縮のたびに消費される。

高強度の運動(重いスクワット、スプリントなど)では、ATPは数秒で枯渇する。ここでクレアチンリン酸が登場する。クレアチンリン酸はADP(アデノシン二リン酸)にリン酸基を供与し、ATPを迅速に再合成する。この反応はクレアチンキナーゼという酵素によって触媒される。

クレアチンをサプリメントとして摂取すると、筋肉内のクレアチンリン酸の貯蔵量が約20〜40%増加する。これにより、高強度運動時のATP再合成能力が向上し、より多くのレップをこなせるようになる(Hultman et al., “Muscle creatine loading in men,” Journal of Applied Physiology, 1996)。

簡潔に言えば、クレアチンはあと1〜2レップ余分に挙げられるようにするサプリメントである。この1〜2レップの積み重ねが、長期的にはトレーニングボリュームの増加を通じて筋肥大と筋力向上につながる。(最適なセット数とレップ数については「10回3セット」の科学的検証を参照)

効果のエビデンス

国際スポーツ栄養学会(ISSN)は2017年に発表したポジションスタンドで、クレアチンモノハイドレートに関する以下の見解を示している(Kreider et al., “International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine,” Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2017)。

筋力への効果として、レジスタンストレーニングと併用した場合、クレアチン摂取群はプラセボ群と比較して筋力が5〜15%多く向上する。

筋肥大への効果として、8〜12週間のトレーニング期間において、クレアチン群はプラセボ群よりも除脂肪体重(筋肉量)が1〜2kg多く増加する。

パワー出力への効果として、スプリント、ジャンプ、高強度インターバルなどの短時間・高強度パフォーマンスが5〜15%向上する。

回復への効果として、高強度運動後の筋グリコーゲン再合成を促進する可能性が示されている。

認知機能への効果として、睡眠不足や精神的疲労の状態において、認知機能の低下を緩和する効果が報告されている。この点は近年特に研究が進んでいる分野である(Avgerinos et al., “Effects of creatine supplementation on cognitive function of healthy individuals: A systematic review of randomized controlled trials,” Experimental Gerontology, 2018)。

摂取量とプロトコル

クレアチンの摂取方法には主に2つのアプローチがある。

第一に、ローディングプロトコルである。最初の5〜7日間に1日20g(5g × 4回)を摂取し、その後は維持量として1日3〜5gを継続する。このプロトコルでは、約5〜7日で筋肉内のクレアチン貯蔵が飽和に達する。

第二に、ローディングなしのプロトコルである。最初から1日3〜5gを毎日摂取する。この場合、筋肉内の貯蔵が飽和するまでに約3〜4週間かかるが、最終的な貯蔵量はローディングプロトコルと同等に達する(Hultman et al., 1996)。

どちらを選んでも最終的な効果は同じである。ローディングは早く効果を実感したい場合に有用だが、消化器系の不快感(膨満感、軽い下痢)を引き起こす人もいるため、無理に行う必要はない。

体重が90kgを超えるような大柄な人の場合、維持量を5g以上にする方が適切な場合がある。

摂取タイミングについては、厳密なエビデンスは限定的だが、トレーニング後に炭水化物やプロテインと一緒に摂取すると、インスリンの作用によりクレアチンの筋肉への取り込みがわずかに促進される可能性がある(Steenge et al., “Protein- and carbohydrate-induced augmentation of whole body creatine retention in humans,” Journal of Applied Physiology, 2000)。ただし、この差は小さく、最も重要なのは毎日継続して摂取することである。

クレアチンの形態:モノハイドレート以外は必要か

サプリメント市場にはさまざまな形態のクレアチンが存在する。(クレアチンと併せて摂取すべきミネラルについては、マグネシウムの形態別ガイドで解説している)

形態特徴エビデンス
クレアチンモノハイドレート最も研究されている標準形態500以上の研究で有効性確認
クレアチンHCl溶解性が高いとされるモノハイドレートを上回るデータなし
クレアチンエチルエステル吸収率が高いと主張モノハイドレートより劣る結果あり
バッファードクレアチン(Kre-Alkalyn)pH調整で吸収改善と主張モノハイドレートと同等の結果
クレアチンナイトレート一酸化窒素との相乗効果を主張十分な研究なし

結論として、クレアチンモノハイドレート以外の形態を選ぶ科学的理由はない。他の形態は価格が高いだけで、モノハイドレートを上回る効果は実証されていない。ISSNもモノハイドレートを唯一の推奨形態としている。

副作用と安全性

クレアチンに関して最も多い懸念は「腎臓に悪い」というものである。この懸念は、クレアチンの代謝産物であるクレアチニンが腎機能のマーカーとして使われていることから生じた誤解に基づいている。

クレアチンをサプリメントとして摂取すると、血中クレアチニン値が上昇する。しかし、これは腎機能の低下を示しているのではなく、単にクレアチンの摂取量が増えた結果である。

健常者を対象とした研究では、1日3〜5gのクレアチンを最長5年間摂取しても、腎機能(糸球体濾過量:GFR)に悪影響は認められていない(Poortmans & Francaux, “Long-term oral creatine supplementation does not impair renal function in healthy athletes,” Medicine and Science in Sports and Exercise, 1999)。

ただし、既存の腎疾患がある人については十分なデータがないため、医師に相談してから摂取すべきである。

その他の報告されている副作用と実態は以下の通りである。

体重増加について。クレアチン摂取開始後に1〜3kgの体重増加が見られることがある。これは主に筋細胞内への水分貯留によるものであり、脂肪の増加ではない。

筋痙攣・脱水について。クレアチンが筋痙攣や脱水を引き起こすという主張があるが、これを支持する研究データは存在しない。むしろ、クレアチンが体温調節を改善し、熱中症リスクを低下させる可能性を示す研究がある。

脱毛について。2009年の1件の研究で、クレアチン摂取によりDHT(ジヒドロテストステロン)が増加したと報告されたが、この結果は他の研究で再現されておらず、クレアチンと脱毛の因果関係は確立されていない(van der Merwe et al., “Three weeks of creatine monohydrate supplementation affects dihydrotestosterone to testosterone ratio in college-aged rugby players,” Clinical Journal of Sport Medicine, 2009)。

消化器系の不快感について。ローディング期に大量摂取した場合に膨満感や下痢が起こることがある。1回あたりの摂取量を5g以下にすることで回避できる。

ノンレスポンダーの存在

クレアチンの効果が感じられない「ノンレスポンダー」が一定数存在する。全体の約20〜30%がノンレスポンダーに該当するとされている。(肉を大量に摂取する食事法についてはカーニボアダイエット完全ガイドを参照)

ノンレスポンダーの主な特徴として、ベースラインの筋肉内クレアチン貯蔵量が既に高い場合がある。肉や魚を日常的に大量に摂取している人は、食事からのクレアチン摂取量が多く、サプリメントによる追加効果が小さくなる。

逆に、ベジタリアンやビーガンの人は食事からのクレアチン摂取がほぼゼロであるため、サプリメントの効果が特に大きい傾向がある。

速筋線維(タイプII線維)の割合が多い人ほど、クレアチンの恩恵を受けやすいとされている。速筋線維はクレアチンリン酸をより多く貯蔵するためである。

実践ガイド:何を買って、どう飲めばよいか

購入するのはクレアチンモノハイドレートの粉末である。ブランドにこだわる必要はないが、以下の点を確認する。

「Creapure」のロゴがあれば、ドイツのAlzChem社が製造する高純度クレアチンであり、品質が保証されている。ただし、Creapureでなくても大手メーカーの製品であれば品質に大きな問題はない。

成分表示がクレアチンモノハイドレート100%であること。余計な添加物や他の成分が混入されていないシンプルなものを選ぶ。

飲み方は、1日5gを水やプロテインシェイクに溶かして摂取する。溶けにくい場合は、温かい飲み物に入れると溶解しやすい。味はほぼ無味である。

サイクリング(一定期間飲んで一定期間休む)は不要である。クレアチンに対する耐性は形成されず、長期的に継続摂取することで効果が維持される。

まとめ

・クレアチンモノハイドレートは500以上の研究で効果と安全性が確認された最強のスポーツサプリメント
・主な機能はATPの再合成促進であり、高強度運動時のパフォーマンスを5〜15%向上させる
・筋力の向上、筋肥大の促進、認知機能の改善など多面的な効果がある
・摂取量は1日3〜5g、ローディングは任意で最終的な効果は同じ
・モノハイドレート以外の形態を選ぶ科学的理由はない
・健常者において腎臓への悪影響は確認されていない
・約20〜30%のノンレスポンダーが存在し、肉食量が多い人ほど追加効果が小さい傾向がある
・サイクリングは不要、毎日の継続摂取が推奨される


【参照論文】

  1. Balsom, P.D. et al. (1994). “Creatine in Humans with Special Reference to Creatine Supplementation.” Sports Medicine, 18(4), 268-280.
  2. Hultman, E. et al. (1996). “Muscle creatine loading in men.” Journal of Applied Physiology, 81(1), 232-237.
  3. Kreider, R.B. et al. (2017). “International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine.” Journal of the International Society of Sports Nutrition, 14, 18.
  4. Avgerinos, K.I. et al. (2018). “Effects of creatine supplementation on cognitive function of healthy individuals: A systematic review of randomized controlled trials.” Experimental Gerontology, 108, 166-173.
  5. Steenge, G.R. et al. (2000). “Protein- and carbohydrate-induced augmentation of whole body creatine retention in humans.” Journal of Applied Physiology, 89(3), 1165-1171.
  6. Poortmans, J.R. & Francaux, M. (1999). “Long-term oral creatine supplementation does not impair renal function in healthy athletes.” Medicine and Science in Sports and Exercise, 31(8), 1108-1110.
  7. van der Merwe, J. et al. (2009). “Three weeks of creatine monohydrate supplementation affects dihydrotestosterone to testosterone ratio in college-aged rugby players.” Clinical Journal of Sport Medicine, 19(5), 399-404.

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